「これデマかも?」そう思ったらどうする?賢い情報の扱い方
インターネットやSNSを見ていると、「あれ?この情報、少しおかしいかもしれない」「もしかして、これってデマ?」と感じることがあるかもしれません。以前の記事で、私たちはデマやフェイクニュースを見分けるための様々な視点について解説してきました。情報源を確認すること、複数の情報と比較すること、感情に流されないことなど、デマを見抜く力は非常に重要です。
しかし、デマを見抜くことと同じくらい、いや、もしかするとそれ以上に重要なのが、「デマだと気づいた後に、どのように行動するか」ということです。不確かな情報、あるいは明らかに誤った情報だと分かった時、私たちはどのようにその情報と向き合えば良いのでしょうか。この記事では、デマを見抜いた後の賢い情報の扱い方について解説します。
なぜ、デマを見抜いた後の行動が大切なのか
デマやフェイクニュースは、誰かが意図的に嘘をついている場合もあれば、誤解や不確かな情報が善意で拡散されてしまう場合もあります。いずれにしても、誤った情報が社会に広まることは、人々に誤った認識を与えたり、混乱や不信を生み出したりする原因となります。
特に、インターネットやSNSは情報の拡散スピードが非常に速いのが特徴です。あなたが「これはデマだ」と気づいた情報も、既に多くの人に読まれ、信じられている可能性があります。そして、あなたがその情報に対してどのような行動をとるかによって、そのデマがさらに広がるのを助けてしまったり、あるいは少しでもその拡散を食い止めたりできるかどうかが変わってきます。
デマを見抜いた後のNG行動とは?
デマだと気づいた時、反射的に行ってしまいがちな、しかし避けるべき行動がいくつかあります。
NG行動1:脊髄反射的な「拡散」や「共有」
最も避けるべき行動の一つが、デマだと気づいた情報そのものを、すぐに自分のSNSや知人に共有してしまうことです。「これはデマですよ!」と注意喚起のつもりで共有する人もいますが、残念ながら、デマそのものが再び多くの人の目に触れることになり、意図せずその拡散を助けてしまう可能性があります。特に、不確かな情報はむやみにシェアしない、という習慣が大切です。
NG行動2:感情的な「反論」や「攻撃」
デマに対して強い憤りを感じ、感情的に「嘘だ!」「間違っている!」と反論したり、情報を信じている人を攻撃したりすることも、効果的な対処法とは言えません。感情的な言葉は相手を硬化させ、冷静な議論を妨げます。また、議論がエスカレートしてしまい、本来のデマ問題から離れてしまうこともあります。
NG行動3:安易な「決めつけ」や「レッテル貼り」
「こんな情報を信じるなんて馬鹿だ」「陰謀論者は全員おかしい」のように、デマを信じている人に対して安易な決めつけやレッテル貼りをするのも避けたい行動です。デマに騙されてしまう背景には、不安や特定の願望など、様々な心理が影響している場合があります。相手を否定するのではなく、なぜその情報を信じてしまったのか、その心理にも少し寄り添う姿勢が、建設的な対話には必要かもしれません(もちろん、悪意を持って情報を拡散している場合は別です)。
デマを見抜いた後の賢い対処法
では、デマだと気づいた時に、具体的にどのような行動をとるのが良いのでしょうか。
対処法1:まずは「一旦立ち止まる」
デマを見つけた時、感情が揺れ動くことがあるかもしれません。驚き、怒り、不安など、様々な感情が湧き上がるかもしれませんが、まずは一呼吸おき、冷静さを取り戻すことが重要です。すぐに反応せず、情報から少し距離を置くことで、客観的な視点を取り戻しやすくなります。
対処法2:「安易な拡散は絶対にしない」という鉄則
デマだと判断した情報は、自分の手で決して拡散しないようにしましょう。たとえ「注意喚起のために」と思ったとしても、デマそのものを広めてしまうリスクの方が大きいからです。「この情報は怪しい」と感じたら、自分のタイムラインやネットワークでは「そこで情報の流れを止める」という意識を持つことが、デマの拡散を防ぐ上で最も基本的な、そして非常に重要なステップです。
対処法3:正しい情報や信頼できる情報源を「静かに確認する」
もし、そのデマに関する正しい情報や、信頼できる情報源(公的機関の発表、権威ある研究機関、大手報道機関など)を知っている場合は、それを自分自身で確認してみましょう。そして、可能であれば、感情的にならず、事実に基づいた冷静な情報を、デマの近くに「そっと提示する」という方法も考えられます。ただし、これは相手の受け取り方によっては逆効果になる可能性もあるため、慎重に行う必要があります。直接反論するよりも、単に正しい情報を参照できるURLを提示する、といった形の方が波風を立てにくいかもしれません。
対処法4:プラットフォームの「報告機能」を活用する
SNSやウェブサイトには、不適切な情報や虚偽の情報を報告するための機能が備わっている場合があります。明らかなデマや、利用規約に違反する情報だと判断した場合は、こうした公式な報告機能を活用するのも一つの方法です。プラットフォーム側がその情報に対して適切な対応を行う可能性があります。
対処法5:親しい人が信じている場合は「対話の姿勢」を大切に
もし、家族や友人といった親しい人がデマを信じていることに気づいたら、頭ごなしに否定するのではなく、「どうしてそう思うの?」「私はこういう情報も見たんだけど、あなたはどう思う?」といったように、対話の姿勢で接することが大切です。相手の考えや背景を理解しようと努め、感情的にならずに、根拠に基づいた情報を提示することで、少しずつ認識が変わる可能性があります。ただし、関係性を損なわないよう、無理強いはしないことも重要です。
まとめ:賢い情報社会との付き合い方
デマやフェイクニュースが飛び交う現代社会では、「情報を見抜く力」だけでなく、「見抜いた情報にどう対処するか」という力が求められています。私たちが一人ひとり、デマを安易に拡散せず、冷静に情報を扱い、必要に応じて信頼できる情報源を参照したり、プラットフォームの機能を活用したりすることで、デマの広がりを少しでも抑えることができます。
デマに触れることは、時に不安や苛立ちを伴うかもしれません。しかし、感情に流されず、常に客観的な視点を持ち、責任ある行動をとることが、自分自身を守り、より健全な情報社会を築くための一歩となります。この記事が、あなたが情報社会と賢く向き合うための一助となれば幸いです。